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みはなさない、その命!
ごあいさつ
2012年の日本国際保健医療学会学術大会の岡山開催を歓迎します。多数の会員の方々の参加を期待しています。主催者として3つの視点を考えています。一つは災害医療、2つはコミュニケーション、3つは新機軸の紹介です。

 最初は災害医療の視点からの経験の交流や智慧の集積ができればと思います。2011年3月11日に発生した東日本大震災被災者に対する医療の検証は最優先事項です。医療の原点は「人の命を助け、救い、見放さない」です。これが著明になるのが紛争や災害の時です。1995年1月15日に発生した阪神大震災の教訓としてDMATが創設され、その後の国内災害に大きな役割を果たしてきました。ただし、東日本大震災では津波被害の被災者医療支援はDMATより避難所医療と巡回診療が主役でした。近い将来に予想されている西日本大震災ではどのような形態の医療が必要とされるのでしょうか。

大会長 菅波茂

 阪神大震災の時と同じように、東日本大震災でも海外医療協力を担っている医療NGOがボランティアの医療スタッフの受け皿として大活躍をしています。同時に海外の医療団体からの災害医療支援を申し込みがありました。実際に来日もしています。充分な経験の蓄積があると思います。そろそろ貴重な経験の共有の時ではないでしょうか。

 次が海外での医療実施におけるコミュニケーションの視点です。医学は科学、医療は文化といわれています。文化とは集団の価値判断です。集団とは共同体です。共同体には主として血縁共同体、宗教共同体、部族共同体などがあります。日本はこれらの共同体とは無縁です。共同体の規範や慣習を無視してコミュニケーションは成立しないし、医療の実施は困難と思います。

 最後がそれぞれの団体が実施している国際医療協力における経済社会的環境変化に対応した新機軸の相互紹介です。金融資本主義の最終段階に入っています。同時にアジアの時代が到来しています。シンガポールの所得はすでに日本人の所得を超えています。中国では裕福層が1億人を超えています。従来の貧困を前提としたスポンサーシップの国際協力から、パートナーシップにもとづいた相互協力の関係に入っています。援助を受ける側のプライドをどう考えるのか。新しい時代には新しい発想が必要です。

阪神大震災の時には百万人のボランティアが参加。「ボランティア元年」と命名されました。東日本大震災ではすでに100万人以上の人が被災地の支援活動に参加しています。一方。欧米では若者の暴動が発生しています。不安によるお金志向から喜びの共有へと日本の価値観は転換しています。この価値観は21世紀の価値観変換を主導していくと確信しています。


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