阪神大震災の時と同じように、東日本大震災でも海外医療協力を担っている医療NGOがボランティアの医療スタッフの受け皿として大活躍をしています。同時に海外の医療団体からの災害医療支援を申し込みがありました。実際に来日もしています。充分な経験の蓄積があると思います。そろそろ貴重な経験の共有の時ではないでしょうか。
次が海外での医療実施におけるコミュニケーションの視点です。医学は科学、医療は文化といわれています。文化とは集団の価値判断です。集団とは共同体です。共同体には主として血縁共同体、宗教共同体、部族共同体などがあります。日本はこれらの共同体とは無縁です。共同体の規範や慣習を無視してコミュニケーションは成立しないし、医療の実施は困難と思います。
最後がそれぞれの団体が実施している国際医療協力における経済社会的環境変化に対応した新機軸の相互紹介です。金融資本主義の最終段階に入っています。同時にアジアの時代が到来しています。シンガポールの所得はすでに日本人の所得を超えています。中国では裕福層が1億人を超えています。従来の貧困を前提としたスポンサーシップの国際協力から、パートナーシップにもとづいた相互協力の関係に入っています。援助を受ける側のプライドをどう考えるのか。新しい時代には新しい発想が必要です。
阪神大震災の時には百万人のボランティアが参加。「ボランティア元年」と命名されました。東日本大震災ではすでに100万人以上の人が被災地の支援活動に参加しています。一方。欧米では若者の暴動が発生しています。不安によるお金志向から喜びの共有へと日本の価値観は転換しています。この価値観は21世紀の価値観変換を主導していくと確信しています。
|